8年前の判断が、いま入る校舎の標準装備になっている
ミライの校舎には、いま、自習席が広く取られ、休憩スペースも確保されています。日曜も午前中も校舎が開いています。これらは2018年から始まった「先に give する」という判断の積み重ねの結果です。
日曜開校や午前中の開校といった先駆け的な取り組みは、今では武田塾FC全体に広がり、当たり前になっています。一方で、特訓席(直接売上につながる席)よりも自習席を優先して圧倒的な席数を確保するところまで踏み込めている法人は、そう多くありません。生徒さんのために give するという行動の徹底度合いで言えば、ミライはかなり踏み込んだ側にいると思っています。
その判断は、収支試算では生まれなかった
通常、こうした大きな投資判断には、収支シミュレーションを丁寧に置きます。「自習席を◯席増やすと、入塾率が△%上がり、回収はXヶ月」のような計算を先に立ててから動く。
ミライの2018年の判断は、それとは違いました。試算を先に置かず、まず生徒さんのために投じる(先に give する)。そのスタンスで増床に踏み切りました。
もちろんコスト懸念がなかったわけではありません。「本当に結果につながるのか」という疑問は当然ありました。
それでも前に進めた理由は、「あえてオーバースペック気味でも、その環境でサポートして垂直立ち上げができるようにしよう」という意図でした。情緒的な決断ではなく、垂直立ち上げを最短で実現するための先行投資として整理した上で決断した話です。
通底する発想は「最初に生徒さんのため」——自習席だけじゃない
経済合理性だけ見れば、1校舎の面積あたりに特訓席を多く置いた方が、入塾生徒数も利益率も上がります。実際、他法人はそのような面積配分の校舎が多い。ミライはその選択を取りませんでした。自習席と休憩スペースに、しっかり面積を割く方針を貫きました。
別の記事で、ミライが大事にしている思想は記してきました。この記事で示したいのは、その思想が施策レベルで一貫してきた事実です。
自習席を増やすのも、休憩室を作るのも、根っこは同じ発想。「最初に生徒さんのため」が必ず先にあります。損得勘定ではなく、まずは生徒さんのために最大限やることをコミットする。ここを「利益を犠牲にして」と書くと受動的に聞こえますが、そうではありません。先に give する側に徹底して立つ戦略的スタンス。能動的に選んでいることです。
振り返ると、ミライが先駆けとして取り組んできたことは、いくつもあります。広がっていったものと、踏み込んだ深さの分だけついてこれる法人がそう多くないものとが、両方あります。
- 012018年自習席の圧倒的な拡大ここまで踏み込めている法人はそう多くない特訓席を削ってでも自習席を増やす。ここまで踏み込めている法人は、そう多くない
- 022018年〜休憩スペースの広めの確保ここまで踏み込めている法人はそう多くない学習だけでなく、滞在できる居場所として設計
- 032018年日曜の校舎開校FC全体に広がった先駆け週末も生徒さんの学習リズムを支える
- 042018年午前中の校舎開校FC全体に広がった先駆け朝型の学習スタイルにも対応
日曜開校・午前開校といった先駆け的な取り組みは、武田塾FC全体に波及しています。一方で、特訓席よりも自習席を優先して圧倒的に拡大する、休憩スペースを広く取る、というところまで踏み込めている法人は、そう多くない。それでもミライは続けています。生徒さんのために give するという行動を、ここまで徹底してきた8年です。ここまでが「先に give する」側の話。次に、その判断がメンバーの働き方にどう影響したかを書きます。

「教える場所」では終わらない。校舎をひとつの会社として動かす理由

成績UPという成果の向こう側まで関わりたい人へ。ミライのサードプレイスという考え方
では、メンバーの働き方は?——「先に give」を支える設計
「自習席を広く取る」「日曜・午前も校舎を開ける」と聞いて、応募者として真っ先に気になるのは、「メンバーが疲弊していないか」「人件費や残業に皺寄せが来ていないか」だと思います。ここは率直に書きます。
結論から言うと、社員の業務時間は1分も増えていません。
具体的には、午前・日曜の開校業務(鍵開け、自習に来た生徒さんの受付、軽微な質問対応など)は、講師(学生)と SA(Secretary Assistant:校舎運営の中核を担う事務スタッフ)が担当しています。社員はその時間を、意思決定や面談など「社員にしかできない仕事」に集中させる設計です。社員側で何かを手放したのではなく、講師・SA が新たに引き受ける範囲を広げ、社員はその分を別の業務へ振り替える、という再設計でした。
講師(学生)にとっても、午前・日曜の業務は担当範囲を広げて成長していくステップとして位置付けています。場当たりに任せるのではなく、講師業務の幅として納得感を持って担ってもらう設計です。学生としての学業を圧迫しない範囲で枠を組む、という前提も外していません。
校舎長の役割範囲も増えていません。校舎長は意思決定と組織育成の層に時間を使うという運営方針を維持しながら、現場オペは講師・SA に分担していく構造です。
開校時間が増えれば防犯リスクも増えます。防犯カメラの設置を含め、運用の細部まで設計し切ってから動きました。
「先に give する」という会社の判断は、生徒さんに対してだけでなく、メンバーの働き方が破綻しないように設計責任も果たすところまで含めての判断です。
結果として、数字は後から返ってきた——だが、安住しない
先に give した結果、何が起きたか。生徒さんからの評価が高まり、校舎に生徒さんが集まる。事業として成立する。
加えて、日曜開校・午前開校といった先駆け的な取り組みは、他法人にも広がりました。「やはりそのほうが結果が出る」ということだったのだろうと思います。一方で、自習席を圧倒的に拡大するレベルまで踏み込める法人はそう多くありません。それでもミライは続けています。先に give する → 評価される → 数字が返ってくる。この順序で事業が成り立ってきました。
ただし、ミライはこの状況に安住しません。
同じレベルの give は、いずれ結果の伸びが一定になっていきます。先駆者であり続けるためには、常に次の手を仕掛け続ける必要がある。
アドバンテージがあるのは「先に始めたから」であって、「実力があるから」ではない。そこを勘違いして驕ってしまうと、追いついてきた他法人にあっさり追い抜かれる。生徒さんも、もっと自分のためになる場所があれば自然とそちらに流れていきます。
立ち止まった瞬間に並ばれる——組織内ではこの認識を、危機意識として共有しています。
これから先駆けて進めたいこと——新たに加わるメンバーができること
「では、次に何を仕掛けるのか」。これは、これから新たに加わるメンバー一人ひとりにとっても、重要な問いだと思います。
最優先で取り組んでいるのは、内製システムによる業務基盤の一新です。今まで教務や講師など「人」がやってきた業務を、いかに「システム」で完結させるか。たとえば、マーケティング施策の運用や、入塾までのプロセス管理、入塾後の生徒さんの成績管理、講師の研修管理といった領域を、人力ではなくシステムで支える形へ移行を進めています。校舎長やメンバーの時間を、人にしかできない判断と関わりに集中させるための土台作りです。
その先にあるテーマは AI 活用です。校舎運営の業務効率化に、どう AI を溶け込ませていくか。教育FCで AI を会社方針として正面から掲げる動きは、業界としてまだ広がりきっていません。だからこそ、ここに早く踏み込む価値があると判断しています。
ここで重要なのは、こうしたテーマを進めるのは経営陣だけではない、ということです。現場で「ここに無駄がある」「ここをシステム化したら校舎長の時間が空く」と気づいた人が、最初に動く側に立てる。先駆者であり続けるためのアイデアは、校舎メンバーこそが最も出せるはずのものです。実際に、新しく入ったメンバーもどんどん貢献しています。

「自分がやったほうが早い」で詰まる校舎長と、1年で抜ける校舎長
次の8年、何を先駆けるか
2018年に始めたことのうち、日曜開校や午前開校はFC全体に広がっています。自習席を圧倒的に拡大するというところまで踏み込んだ判断は、ついてこれる法人はそう多くないながらも、ミライは続けています。次の8年で、ミライはまた違う何かの先駆者になっているはずです。それが何になるかは、今この瞬間にはまだ言葉になっていません。
ただ確実に言えるのは、それを最初に言葉にし、最初に動かすのは、現場で「これは生徒さんのために必要だ」と気づいた誰かだということ。経営陣でも、外部コンサルでもありません。校舎で日々生徒さんと向き合っている人です。
先に give する。役割を再設計して両立させる。結果が出たら安住しない。次の手を仕掛ける。この一連のスタンスを、納得感を持って動かせる人と、ミライは仕事をしていきたいと思っています。
ただし、目の前の即時リターンが見えないと動けない人や、会社の方針が降りてくるのを待ってから動きたい人にとっては、ミライの「先に give する → 半年〜数年で返ってくる」という時間軸や「現場が先に動く」というスタンスは合わないかもしれません。
そうではなく、「生徒さんのために何ができるか」を先に考えられる人。半年〜数年単位で結果を見られる人。次の先駆的な取り組みを自分が中心となって動かしてみたい人。そんな人と、次の8年を作っていけたらと思っています。


