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妥当に志望校を下げてもらうほうが、塾としては合格率が上がる。それでもミライがその選択を取らない理由

妥当なラインに志望校を下げてもらえば、塾としては合格率が上がる。それでもミライがその選択を取らないのは、「豊かさとは選択肢に富んでいること」という定義を、生徒さんに対しても同じように貫いているからです。

「行きたいと言ったら、学校の先生に下げたほうがいいと言われました」

入塾相談で生徒さんと向き合うと、志望校の話になります。第1志望、第2志望、その先まで含めて、いま本人がどこを見ているのかを聞いていく時間です。

その時、ミライの校舎では生徒さんに対して、よくこんな問いかけをします。

その志望校は本当に自分がいきたいところですか?自分の現在地から考えていけそうなところで選んでいませんか?

この問いかけを返すと、少なくない数の生徒さんが、少し言いにくそうに本音を口にしてくれます。「本当は別の大学に行きたいけれど、無理だと思っていました」「行きたいと言ったら、先生に下げたほうがいいと言われました」。

ミライは武田塾のフランチャイズとして4校舎を運営しています。武田塾FC本部のメソッドを軸に、自学自習で逆転合格を実現する塾です。ミライが運営する校舎でも、当然ながら毎年たくさんの生徒さんと面談を重ねています。その面談の中で、本人の中ではすでに「行きたい大学」が一度諦められていることが、想像以上に多くあります。本人が口にする「現在地から考えて妥当な志望校」は、本当に本人の希望なのか、それとも周りの大人の意見を経由して書き換えられた希望なのか。ミライの校舎で最初に聞いていくのは、そこです。

妥当なラインに下げれば、塾としては合格率が上がる

塾という業界の事実だけを置くと、志望校を妥当なラインに合わせてもらったほうが、合格率という数字は素直に上がります。本人の現在地から見て確実に届く大学を第1志望にしてもらえば、合格実績はきれいに積み上がっていきます。

ただ、ミライはその選択を取りません。合格率という数字よりも前に置いているものがあります。それは、生徒さんがもともと持っていた「行きたい」という意思を、大人の側で先に閉じてしまわないことです。

変に賢くなった大人の考えで妥当なラインに志望校を下げることは簡単な話です

ミライの校舎運営は、この一文を出発点に置いています。簡単な選択に逃げず、本人の希望そのものに向き合う。ミライがそこに立てるのは、ひとつの考え方が根にあるからです。

ミライは「豊かさ=選択肢」と考える

ミライ株式会社には、社内で繰り返し共有している「豊かさ」の定義があります。

豊かさとは、選択肢や可能性に富んでいること

この定義の大きな特徴は、生徒さんに対しても、働くメンバーに対しても、別々の基準を持っていないことです。社員にとっては、働き方の選択肢や、描けるキャリアの可能性を広げること。生徒さんにとっては、進路や学び方、将来の可能性を狭めずに広げていくこと。どちらも、ミライにとっては同じ「豊かさ」です。

生徒さんに向き合うときも、メンバーの将来を考えるときも、ミライは「その人の選択肢や可能性は広がっているか」という一つの基準で判断します。会社の都合に合わせて、相手によって物差しを変えない。そのために、この定義をわざわざ明文化しています。

この考え方が、働くメンバーに対してどのように形になっているのかは、別の記事で組織の話として書いています。仕組みとマインドの両方から個人差を埋め、特性の違う人でも結果を出せるようにしてきた組織の在り方についてです。この記事では、そのもう一方である生徒さん側について書いています。

社員の可能性を広げようとする会社が、生徒さんの可能性だけを大人の都合で狭めてしまうなら、この定義は本当の意味を持たなくなります。だからこそ、面談での問いかけや進路の扱い方にも、この考え方はそのままつながっています。

選択肢が多いということは、本人が選べる未来の幅が広いということです。反対に、大人の側が先回りして選択肢を減らしてしまえば、本人の可能性は、入塾した瞬間に1つか2つに絞られてしまいます。

いまの成績だけで見て、妥当だと思われる志望校だけを残す進路選びは、合格率という数字だけを見れば合理的かもしれません。しかし、本人の可能性という視点で見れば、その幅は確実に狭まっています。

ミライは、その狭め方を選びません。

わかりやすく言えば、面談で第1志望を聞くとき、ミライでは「いま届くかどうか」だけで判断しません。

届くかどうかは、これから一緒に学習を組み立て、現実の数字と向き合いながら確かめていくものです。最初の面談でそれを決めつけてしまえば、本人が持っていたはずの可能性の幅が、まだ何も始まっていない段階で削られてしまいます。

「選択肢の側に立つ」とは、判定を急がないということでもあります。

ミライ式の校舎運営において、生徒さんに向ける姿勢ははっきりしています。

「行ける大学に合格してもらう」のではなく「生徒の可能性を広げ、選択肢を豊富にした中で、行きたい大学に合格してもらう」

行ける大学に合格してもらうのが目的ではない、と明確に言い切っています。生徒さんの選択肢を豊富にした中で、行きたい大学に向き合ってもらう。ミライの校舎が目指しているのは、その状態です。

大人の都合で選択肢を狭めない、という姿勢が、ミライの校舎運営の核に置かれています。塾としての合格率を最優先するなら、本人の希望よりも妥当な進路を勧めたほうが効率的です。それでもミライがその効率を取らないのは、効率の側に立った瞬間に、生徒さんの「行きたい」という意思が運営の外側に置かれてしまうからです。ミライが立っているのは、効率の側ではなく、選択肢の側です。

対をなす記事:同じ豊かさの定義を、社員側の組織進化に当てはめた話

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精神論で終わらせない——現場の動きは既に書いている

「生徒さんの可能性を狭めない」という姿勢は、言葉として置くだけでは精神論で終わります。ミライが立っている場所がここだと宣言しても、実際の現場が伴っていなければ、ただの綺麗事です。ミライ自身、この点はずっと意識してきました。

ミライにおける「可能性を探り続ける」は、姿勢の宣言ではなく、運営の動きとして成立しています。

本人が行きたいと思うならば、1%だったとしてもその可能性を探り続けて、現実にするために生徒さんと共に進んでいく

1パーセントの可能性を、本人と一緒に最後まで持ち続けるためには、面談・学習設計・撤退判断・数字の取り扱いまで、運営側の動きが裏で成立している必要があります。本人が大学に届くために必要なことを、校舎長と講師が一緒に見続けて、必要に応じて学習計画を組み直して、現実の数字とも向き合いながら、それでも可能性を閉じずに進める。これは精神論ではなく、運営の積み重ねです。

この記事の角度で一つだけ補足すると、可能性を閉じないことと、現実を見ないことは別物です。ミライの校舎運営は、現実の数字をかなり細かく見ています。1パーセントを掲げるからこそ、いまどこまで来ているのか、残り期間で何がどれだけ必要なのか、本人と一緒に正確に把握します。希望を曖昧なまま温めるのではなく、希望に届くための距離を数字で見える状態にして、その距離を一緒に詰めていく。可能性を探り続けるとは、根拠のない励ましを続けることではなく、本人が行きたい大学までの距離を本人と共有し続けることです。

面談の場でも、ミライの校舎長や講師は「行ける/行けない」を先に言い切りません。代わりに、いまの距離を一緒に確認して、その距離を埋める設計を本人と組み立てます。途中で計画が現実に合わなくなれば、まず組み直すのは志望校ではなく、計画のほうです。本人の希望を動かす前に、運営側でできることをやりきる。その順番を守ることが、可能性を最後まで持ち続けるための、ミライの校舎運営の基本姿勢になっています。

その積み重ねのうち、現場の動き方の核になる部分は、別記事としてすでに公開しています。撤退ラインを校舎長が自分で引く経営判断の工程、自分でやったほうが早いと感じる時期を抜けて講師に渡しきっていく動き方、生徒さんの状態を三層のアンテナで捉える校舎運営の仕方。どれも、可能性を探り続けるために現場で成立させている動きの一部です。

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この記事では現場ディテールには深入りせず、姿勢の根拠に焦点を絞っています。可能性を探り続ける運営が、実際にどう動いているのかは、先に挙げた3記事で改めて書いています。

偏差値20〜30の伸び。高校初の合格。可能性は、実際に届いた

ここまで書いてきたことは、単なる理想論ではありません。ミライが運営する武田塾の校舎で出会ってきた生徒さんたちが、実際にそのことを示してくれています。

校舎で日々生徒さんと向き合う中で、短期間で偏差値を20、30と伸ばした生徒さんが何人もいました。入塾時点では「到底届かない」と言われていた大学に、本人と一緒に可能性を探り続けた結果、合格を実現した生徒さんもいます。中には、その高校からは過去に誰も合格していなかった志望大学に、高校初の合格を果たした生徒さんもいました。

こうした生徒さんたちも、最初から自信に満ちていたわけではありません。入塾時には、周囲から「もっと現実的な志望校にした方がいい」と言われていたことも少なくありません。本人自身も半ば諦めかけていて、最初の面談で行きたい大学の名前を口にすることに、ためらいがある場合もあります。

そこから、現在地を一緒に確認し、計画を組み、模試の結果に一喜一憂しながら、それでも行きたい大学を視界から外さずに進んでいく。順調な時ばかりではありません。伸び悩む時期もあります。判断に迷う時期もあります。1パーセントの可能性を本人と一緒に持ち続けるというのは、そうした日々の積み重ねの先にあるものです。

もし最初の面談で、妥当なラインに志望校を下げてもらっていたら、これらの合格は生まれていませんでした。塾の合格率という数字だけを見れば、その方が安全だったかもしれません。けれど、その数字の裏側で、本人が本当に行きたかった大学は、一度も挑戦されないまま閉じられていたことになります。

届いた可能性の一つひとつは、運営側が早い段階で可能性を閉じなかったからこそ、現実になったものです。

こうした事実に出会うたびに、生徒さんの可能性は、大人の側だけで見積もれるものではないと感じます。模試の判定や偏差値は大切です。現実を正しく見ることも必要です。けれど、本人の中にある可能性は、面談時点の数値だけで測りきれるものではありません。

ミライが、生徒さんの可能性を運営側で先に閉じない理由は、ここにあります。

志望校を下げさせないのではなく、本人が選べる場をつくる

ここまで読むと、「ミライは志望校を絶対に下げさせない塾なのか」と受け取られるかもしれません。しかし、それは少し違います。

ミライが大切にしているのは、志望校を下げるかどうかではありません。本人が納得して選べる場を、どう用意するかです。

受験は、最終的には本人の選択です。家庭の事情、本人の納得感、複数の進路を見比べた上での判断。志望校を変えるという決定そのものは、本人が選び取るものです。本人がいくつかの可能性を見比べた上で、「この大学にする」と選び直すのであれば、その選択もミライは尊重します。

ミライが向き合うのは、本人の中には本当に行きたい大学があるのに、大人の側が先回りして可能性を閉じてしまっている時です。

「お前には無理だ」「もっと現実を見た方がいい」「その大学はやめておいた方がいい」

そうした言葉によって、第1志望が本人の声ではなく、大人の判断で下書きされてしまっている時があります。その時に、いったんその言葉をほどき、本人の中にある希望を、本人自身の言葉で言い直してもらう。ミライの校舎で最初にしているのは、そこです。

選択肢を狭めない場をまず用意する。その上で、本人が選ぶ。

本人が選んだ進路であれば、それが第1志望のままでも、第2志望に切り替わったとしても、ミライの校舎は伴走します。志望校を下げる選択そのものを否定するのではありません。本人の選択が、大人の都合や運営側の安全策によって、先回りされないようにする。

それが、ミライの役割です。

この校舎運営に、手応えを感じる人へ

ここまで書いてきた校舎運営の在り方に、手応えを感じる人がいると思います。一方で、別の考え方の塾運営の方が力を発揮できる人もいるはずです。

  • 面談で生徒さんが「本当はこの大学に行きたい」と小さな声で口にした時、その一言を妥当なラインに丸めず、まず受け止めたいと思える人
  • 合格実績の数字を見る前に、その生徒さんが入塾時よりも広い選択肢を持てたかどうかが気になる人
  • 模試の結果が伸び悩んでいる時期に、すぐに志望校を下げる相談から入るのではなく、まず学習計画を組み直す相談から始めたいと考える人
  • 「行きたい大学に届かせるために、運営側で何ができるか」を、面談、学習設計、進捗確認、日々の声かけといった具体的な動きに落とし込んでいくことに、手応えを感じる人

そういう人にとって、ミライの校舎運営は、力を発揮しやすい場所だと思います。

もちろん、塾運営にはいろいろな立ち方があります。合格率という数字を最優先に置き、確実に届く進路で合格実績を積み上げていく運営にも、一つの誠実さがあります。生徒さんやご家庭にとって、その関わり方の方が合う場面もあります。

ただ、ミライの校舎運営は少し違います。

「行ける大学」を機械的に選ぶのではなく、「行きたい大学」を最後まで一緒に見続ける

そのために、面談を重ね、計画を組み直し、数字を確認し、生徒さんの変化を見逃さない。そうした運営の積み重ねによって、まだ見えていない可能性を現実に近づけていく仕事です。

その積み重ねに加わってみたい。そう感じてくれる人と、現場で一緒に働きたいと考えています。

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